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野良師のつぶやき
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「野良師のつぶやき」

福島に行った[2.放射線について]

ところで。
放射能について、ちょっとここらでわかりやすくまとめてみる。福島に行くにあたって今一度勉強してみたので。


唐突ですが、想像してください。
では、まずここに、とある「モノ」があるとします。
よく見てみると、キラキラと反射しています。金色で、重たいです。これはご存知「金」という物質です。この「金」は光を受けて「金色」に輝きます。太陽の「光」のうち「金色」の成分を跳ね返して、我々の目に入ってきます。私たちはこの光を「金色」と認識するのです。
同様に、例えば緑の葉っぱは光の成分のうち「緑色」を跳ね返します。私たちはこれを「緑色」と認識します。反射する一部の光の成分を「目」が感じることで、りんごは「赤」、空は「青」とそれぞれ認識します。何も反射しなかったら「黒」です。

「黄金色」の稲が実ったはずの田んぼ。草刈りをした田んぼもあれば、してない田んぼもある。川俣町山木屋地区。


空の虹は七色です。光の全成分を分けることで、紫 藍 青 緑 黄 橙 赤 の七色に分かれます。これらの色をすべて混ぜると「白」だと認識するし、光がないと「黒(=暗闇)」というわけです。

雨上がりの光の美しさと言ったら!ちなみに、福島旅とは関係ない写真です。


「光」は「電磁波」と呼ばれるエネルギー振動の一部の波長を「目」という器官が感じることで認識できます。これら光(可視光線)のうち波長の短いものを紫、長いものを赤と認識します。(ときおり、これらの波長のうち、一部を認識ができない人がいます。色覚異常ってやつです。俗に言う色盲とか色弱の方ですね。)

では、俗に言う「紫外線」って何?
紫外線は、この七色のうち紫色よりもさらに波長の短い電磁波です。人間は目で感じることはできません。けれども、肌に当たると炎症を起こします。俗に言う日焼けです。ところが、この紫外線もある種の生物には有益です。例えばモンシロチョウは紫外線を感じる目を持ってるので、人間には一緒の模様に見えているオスとメスも、彼らにしてみたら、ぜんぜん違う模様が見えてるんだそう。

赤外線は、赤色よりも長い波長の電磁波です。赤外線は目で知覚することはできませんが、肌を使って「暖かさ」として知覚することができるようです。さらに長い波長の電磁波は、携帯電波やラジオなどの通信に用いられています。

電磁波と呼ばれるエネルギーの振動のうち、人間が「知覚」できるのはこの程度です。ですが、電磁波は波長の違いによって、まだまだ種類があります。波長の長いものから表にするとこんな感じ。

画像はココよりお借りしました。

 

そして、紫外線よりさらに波長は短いものを「放射線」と分類します。ざっくりとX(エックス)線とγ(ガンマ)線の二種類に分けられます。

光などに比べて、とてもエネルギーが大きく、多くの場合物体を透過する。これらは人間が一時的に浴びることについては特に問題はないとみなされている(例えば、レントゲン撮影やラドン温泉などのようにリスクよりリターンが大きくなる場合は使用を是とみなしている)。けれども、ずっと浴び続けると遺伝子などに影響を及ぼす恐れがあり、生物にとって不都合な高エネルギーな電磁波なのです。

また、「放射線」はこの「波長の短い電磁波」以外に、α線やβ線、中性子線などがあります。これらは、今まで出てきたようなエネルギーを持った「波」ではなく、高速で飛んでくる極々小さな粒子です。原子を構成する小さな粒子が、ものすごい速さで飛んできます。これもまた「放射線」と呼ばれています。

まとめれば、「放射線」とは「極短い高エネルギーの電磁波」と「高速粒子線」の二種類があるということになります。
いずれにしても、大なり小なり生物のDNAを傷つける作用があります。けれども悪影響をおよぼすことが分かっているにもかかわらず、人間はこれらを「知覚」することができません。

「放射線」は宇宙や地殻からわずかですが発せられています。毎日のようにカラダに浴びていますが、わずかの量であれば特に問題はないようです。この長い生命の歴史の過程で、放射線への耐性を寿命や生存に影響しない程度に獲得してきたとも言えるかもしれませんね。

このページが分かりやすい→「科学雑誌Newton


ところで、放射線を放出する物質のことを放射性物質といいます。放射性物質は、物質としてはとても不安定で、常に崩壊の道を辿ります。原子力発電所では、この放射性のウランを用いて人為的に核分裂反応を起こし莫大な熱エネルギーを生み出し、それを利用して水を蒸気に変え、発電を行っています。

「原子力発電所」では、さまざまな仕組みによって、核分裂反応を制御して人間の管理下においているのですが、今回の福島での事故では、津波でそれらを制御する設備が破壊され核分裂反応をおさえることができなくなったがために、想定外のガスなどが発生したことにより意図的な排気操作や意図せぬ爆発・水漏れなどで、多量の放射性物質(核分裂反応による生成物)を発電施設外へ吐き出すことになりました。主にセシウムやヨウ素の放射性物質です。

先に書いたとおり、放射化した物質は、その不安定な性質により安定を求めて崩壊していきます。そのときに、放射線を出します。物質によってその特性は違い、放射線の質も違えば、無害化までの速度(半減期)も異なります。当然ながらそれぞれ生物への影響は異なりますし、影響には個体(個人)差があります。

福島の原発からほこりのように飛び散ったこれらの粒子は、風に舞い地形に沿い、地面や水面に降り注ぎました。もしも、放射線を光として知覚できたなら、粒子が舞い散るその様子は、きっとキラキラと輝く星のようでしょう。その光は眩しければ眩しいほど外界への影響は大きく、危険な光なのです。

福島の原子力発電所から半径20kmにはこれらの害のある粒子が撒き散らされたとして、立ち入り禁止区域となりました。不幸にも原発から大量の放射性物質が放出されたタイミングに南東からの風が吹いていたがために、北西の方角に位置する町や村も住むのが危険なほどに汚染されました。

撒き散らされた放射性物質は、見えないままその土地に降り積もっていきます。ごくごく小さな粒子であるがために、土と混ざり水に混ざり、気づかぬうちに植物・動物の生体内に取り込まれます。呼吸や飲食を介してカラダに取り込まれたのちに、体内をめぐって排出されれば良いのですが、なかなかそうはいきません。体内に貯めこまれ、その場所で放射線を出し続けます。放射線の強さは線源からの距離の二乗に反比例するので、つまりは放射性物質からの距離が近ければ近いほど危険度は跳ね上がります。体内に取り込まれたらその危険度たるや…。

(ちなみに、Sv=シーベルトという単位は放射線が人体に及ぼす影響を数値化したもの。Bq=ベクレルは放射線を放つ能力の量を表す単位。放射性物質を夜空の星に例えるなら、放射性物質が「星」、ベクレルは星の大きさと数、シーベルトは地球から実際に目に見える光の強さ。そして、夜空の星を眺めるのを体外被曝に例えるなら、近距離にある星・太陽の光を浴びる行為が体内被曝とも言えるかも。)

今回は、そんな放射性物質が降り注いだ地域を見てきたわけです。
目に見えぬ放射性物質によって、すべての生活が変わってしまった様子を、あくまで「外」から眺めてきました。そこに住む人たちに話を聞いたわけでもありませんので、暮らしを想像しただけにすぎません。つたない想像力しか持ちえませんが、それでも行った意味はあったように思います。


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